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アパートを持つと、毎月の運営のほとんどを管理会社に任せることになります。入居者の募集、家賃の集金、共用部の清掃、夜中の設備トラブルへの対応。オーナーが直接やりとりするのは、その報告を受けるときくらいです。
私は新築の1棟アパート(1K8室)を持っていますが、管理会社を変えたことは一度もありません。今のところ変える予定もありません。最初に決めた会社のまま、困らずに運営できています。
この記事では、今の管理会社をどう選んだか、比べたもう1社と何が違ったか、そして「この会社なら変えなくていい」と思えた場面を書きます。

管理は、アパートを買った売主にそのまま任せた
このアパートは、不動産会社が土地に建てて、土地と建物をまとめて売り出した物件でした。管理をお願いしているのは、その売主の会社です。
最初から管理もセットで決めていたわけではありません。購入の手続きを進めるあいだ、担当者とは何度もやりとりがありました。融資の途中で私の転職が決まったときも、まず相談したのはこの会社です。その経緯はアパート1棟目を買うまでの11ヶ月に書いています。そうしたやりとりの中で、誠実で真面目な会社だと感じました。管理もここに任せようと決めたのは、その印象からです。
売主がそのまま管理を引き受ける形は、新築の1棟物件では珍しくありません。物件が建つまでの経緯や、入居者募集の前提を一番知っているのは売った側です。引き渡しから募集、運営までを同じ相手と続けられるので、やりとりがスムーズになります。
一方で、気をつけたい点もあります。販売資料に載っている想定賃料は、あくまで出発点の数字です。私の物件の資料では満室で月68万円でしたが、自分で相場を調べ直して募集に出し、今は月72万円です。相場より高く置かれていれば、下げないと決まらないこともあります。その数字が妥当かどうかは、買う前に自分で確かめておきたいところです。
もう1社に話を聞いて分かった違い
比べる相手がいないと、条件の良し悪しは判断できません。同じように売主として物件を売り、管理も手がけている別の業者にも話を聞きました。
違いは2つありました。
1つ目は清掃費の扱いです。その業者では、管理費とは別に清掃費がかかる仕組みでした。委託料の率だけを並べると大差がないように見えても、清掃費を足すと毎月の支出は変わります。比べるべきなのは率ではなく、毎月いくら出ていくかの合計です。
2つ目は家賃の設定です。話を聞いた範囲では、相場より高めに置く傾向がありました。家賃を高く置けば利回りの数字は良く見えますが、決まらなければ空室の期間が延びます。私が家賃を決めるときに数えたのは、その金額で競合する募集が何件あるかでした。調べ方はアパート8室の家賃設定にまとめています。
委託料5%に含まれていたもの、交渉して通らなかったこと
今の管理会社への委託料は、賃料の5%に消費税を加えた額です。この中に、共用部の清掃が月1回含まれています。清掃費を別に払う必要はありません。礼金や更新料、広告料(AD)の取り決めも含めた年間の運営費は新築アパート8室の実際の収支に載せています。
管理を任せる前に、契約内容を確認しながら、同じ金額のまま清掃を月2回に増やせないか交渉しました。返事は「費用が大きくなるので難しい」とのことで、この交渉は通りませんでした。
結果的には、月1回で困ったことはありません。共用部はいつもきれいに保たれています。回数を増やすことより、決まった回数をきちんとやってくれるかのほうが大事だったと、今は思っています。
「しっかりしている」は、トラブルのときに分かった
委託料の率や清掃の回数は、契約前に比べられます。比べられないのは、何かが起きたときにどう動くかです。管理会社を変えずに済んでいる理由のひとつは、ここにあります。
ハチの連絡が来た日
あるとき入居者から、排気口のあたりにハチが何匹か飛んでいる、と連絡が入りました。原因は、排気口のそばにできた巣でした。管理会社はすぐに区役所へ連絡し、駆除業者への依頼と費用の確認まで済ませてくれました。私が報告を受けたときには、もう対応が動いていた状態です。

小さな出来事ですが、ここに管理会社の差が出ると思っています。オーナーの返事を待ってから動けば、そのぶん動き出しが遅れます。この会社は役所や関係先へ真っ先に話を通してくれるので、対処が早く済みます。入居者への対応も親切で、報告も丁寧です。
家賃の滞納が起きたとき
法人契約の1室で、家賃の滞納が続いたことがあります。このときも管理会社が入居者や保証会社と密に連絡を取りながら、手続きを進めてくれました。私自身はほとんど手を出さずに済みました。
滞納は、オーナーが一人で抱えると精神的にも時間的にも重い問題です。そこを前に立って進めてもらえたときは、この会社に任せて良かったと思いました。
家賃を一緒に考えてくれる
最初の募集のときは、私が相場を調べて金額を提案しました。退去が出て再募集したときは、お互いに調べています。こちらが出した金額をそのまま受け取るのではなく、管理会社の側でも周辺の募集を確かめていました。
任せきりでも、言いなりでもない関係です。このアパートは、管理会社とお互いのプロジェクトを進めている感覚で運用しています。
物件によって、管理の形は違っていい
1棟アパートのやり方が、どの物件にも当てはまるわけではありません。私が関わっている3件でも、管理の形はそれぞれ違います。
| 物件 | 管理の形 | 費用の取り決め |
|---|---|---|
| 1棟アパート(1K8室) | 売主の会社に委託 | 賃料の5%+消費税(共用部清掃月1回込み) |
| 戸建(自宅を賃貸に回したもの) | 入居者を見つけてくれた業者がそのまま管理 | 毎月の管理費なし。更新料(賃料1ヶ月分)を管理会社と折半 |
| 友人の区分マンション | 私が窓口になって自主管理 | 委託料なし |

戸建は、自宅を賃貸に出した際に入居者を見つけてくれた業者が、そのまま管理も引き受けています。毎月の管理費はかからず、更新のときに更新料を管理会社と半分ずつ受け取る形です。入居者は1世帯で共用部もないため、アパートほどの手間はかかりません。
友人の区分マンションは、購入を手伝った縁で、私が購入後の窓口を務めています。区分の1室ならそれほど手間はかからないだろうと考え、最初から管理会社は入れていません。この部屋の購入の経緯はオーナーチェンジ物件を買う側のリスクに書いています。
戸数が多く、共用部があり、入居者の入れ替わりもある物件ほど、管理会社の動き方が収支と手間に直接効いてきます。逆に1世帯だけで長く住んでいる部屋なら、自分で見られる範囲に収まることもあります。
管理会社は、売るときにも関わってきます。以前持っていた武蔵小杉の2LDKは、賃貸中に管理を任せていた会社に、売却の仲介も頼みました。入居者に所有者が変わったことを知らせる連絡も、その会社への依頼1本で済んでいます。そのときの手間と費用はオーナーチェンジ物件を売った費用の実額にまとめました。
選ぶ前に確かめておきたいこと
ここまでの経験から、管理会社を決める前に確かめておきたいことを並べます。
- 委託料に何が含まれているか。清掃は別料金か、何回分が入っているか。率ではなく毎月の支出の合計で比べる
- 家賃をどう提案してくるか。相場より高めに置く傾向がないか。提案の根拠として、どの募集と比べたのかを聞いてみる
- トラブルのとき、誰にどの順で連絡するのか。オーナーの判断を待ってから動くのか、先に関係先へ話を通すのか
- 報告はどんな形で届くのか。何が起きて、どう対応して、いくらかかったのかが後から分かるか

小杉恵のひとこと
清掃を月2回にする交渉は通りませんでしたが、そのことに不満は残っていません。ハチの件ではすぐに区役所へ話を通してくれ、滞納の件では私がほとんど手を出さずに済みました。どちらも、契約前の比較では見えなかったところです。
よくある質問
Q. 物件の売主に管理まで任せて大丈夫ですか?
A. 私は売主に任せていて、今のところ変える予定はありません。ただ、売主だからという理由だけで決めたわけではなく、もう1社にも話を聞き、条件を比べてから決めました。
Q. 委託料の率が低い会社を選べばいいのでしょうか?
A. 率だけでは比べられません。清掃が委託料に含まれるかに加えて、礼金や更新料を誰が受け取るかでも、手元に残る額は変わります。私の戸建は毎月の管理費がかからない代わりに、更新料を管理会社と折半しています。
Q. 管理会社に任せず、自分で管理することもできますか?
A. 物件によってはできます。友人の区分マンションは私が窓口になって自主管理していますが、入居者からの連絡を受けるのも、修理の手配をするのも自分です。一方で8室のアパートは、入居者の数もトラブルの起きる場面も多いため、管理会社に任せています。
まとめ
アパートの管理は、購入のときにやりとりした売主の会社に任せました。決め手は、手続きのあいだに感じた誠実さです。もう1社にも話を聞き、清掃費が別料金かどうか、家賃を高めに置く傾向がないかを比べたうえで決めています。
委託料5%の中に清掃が含まれていること、清掃を増やす交渉は通らなかったこと。こうした条件の差は、契約前に表で比べられます。変えずに済んでいる理由のひとつは、トラブルの場面で、関係先とのやりとりを前に立って進めてくれることです。変えなくていい管理会社かどうかは、条件の表より、何かが起きたときの動き方で分かります。
戸建は入居者を見つけてくれた業者に、友人の区分は自分で、と物件ごとに管理の形は違います。持っている物件をそれぞれどう持ち続けるか、いつ手放すかの判断は不動産の持ち方・手放し方にまとめています。
