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「なるべく早く現金化したい」「内覧のために部屋を片付ける余裕がない」「事故物件かもしれず、仲介では買い手が見つからない気がする」。武蔵小杉でマンションの売却を考える中で、こうした事情から「買取」という選択肢が気になっている方に向けて、仲介との違いと、買取を選ぶ前に知っておきたいことを整理しました。

仲介と買取、何が違うのか
マンションの売却には大きく2つの方法があります。仲介は不動産会社に間に入ってもらい、個人の購入希望者を探す方法。買取は不動産会社そのものに直接買い取ってもらう方法です。買い手が「個人」か「会社」かというこの違いが、価格・スピード・手間のすべてに影響します。
| 仲介 | 買取 | |
|---|---|---|
| 買い手 | 個人の購入希望者 | 不動産会社 |
| 売却までの期間 | 数か月〜半年程度が目安 | 数日〜数週間程度が目安 |
| 売却価格 | 買取より高くなりやすい | 仲介より低くなる傾向 |
| 内覧対応 | 複数の購入希望者の内覧に対応する必要がある | 不動産会社の担当者による現地確認が中心で、負担は少ない |
| 契約不適合責任 | 売主として一定期間負うのが一般的 | 免除する特約を結ぶケースが多い |
特に見落とされがちなのが最後の「契約不適合責任」です。売却後に雨漏りや配管の不具合など、契約時に説明していなかった欠陥が見つかると、仲介での個人間売買では売主が修補や損害賠償の責任を負うことがあります。宅建業法40条は「宅建業者が売主となる場合」にこの責任を免除する特約を無効とする消費者保護の規定ですが、買取は宅建業者が買主・個人が売主という逆の関係になるため、この規定の対象外です。そのため、買取では契約書に免除特約を盛り込みやすいという背景があります。もっとも「必ず免除される」わけではないので、契約書の条項は必ず確認してください。
仲介での売却の基本的な流れや仲介手数料の考え方は武蔵小杉でマンションを売却する完全ガイドで詳しく解説しています。
買取価格の目安と、なぜ相場が調べにくいのか
買取価格は「仲介で売る場合の相場の7〜8割程度」が目安として語られることがよくあります。ただし、この数字の出どころを調べてみると、実は少し注意が必要です。大手一括査定ポータルの解説記事を確認したところ、「買取の成約データは収集できないため、仲介での平均成約価格の7割を買取相場として紹介します」と、数字の根拠自体が明記されていました。つまり「7〜8割」は実際の買取取引を集計した数字ではなく、仲介相場から逆算した推計値だということです。他の不動産系メディアの記事でも、買取率の具体的な数字に一次データの出典が示されているものは見当たりませんでした。
なぜ実際の買取取引データが出回らないのでしょうか。ひとつの理由として、不動産の取引情報を業者間で共有する「レインズ」という仕組みの構造が挙げられます。レインズへの登録が宅建業法上義務づけられているのは、専属専任媒介・専任媒介という契約を結んだ場合に限られます。一方、買取のように不動産会社が物件を買い取った後、自ら売主として再販する取引は、そもそも個人と不動産会社の間に「媒介契約」が存在しません。レインズの登録義務は媒介契約を前提とした制度のため、買取の直接取引はこの枠組みの外にあると考えられます。買取という取引そのものが、仲介に比べて統計として把握されにくい構造にある、ということです。
ですので、「買取は仲介の7〜8割」という数字は、あくまで大まかな目安として捉えておくのが現実的です。実際の買取価格は、次に説明する物件の状態や、依頼する会社によって幅が出ます。
買取業者ごとのビジネスモデルの違い
ひと口に「買取業者」と言っても、仕入れた物件をどう扱うかは会社によって異なります。例えば、リノベーション再販を主力事業とする業者は「築年数の経過した中古マンションを仕入れ、リノベーションで再生して販売する」ことを事業の中核に据え、年間1,000件を超える買取再販を行っています。すぐにリノベーション工事に着手できることが前提のため、比較的築年数の古い物件を積極的に仕入れる傾向があります。
一方で、別の業者は「賃貸中(オーナーチェンジ)のマンションを買い取り、自らオーナーとして家賃収入を得ながら保有し、入居者が退去した後にリノベーションして売却する」というモデルを主力にしています。買取後すぐに手を加えるのではなく、しばらく賃貸経営をしてから再販する点が、先の業者とは異なります。
このように買取業者ごとに「何を、いつ、どう再販するか」という戦略が異なるため、同じ物件でも会社によって提示される買取価格や条件に差が出ます。複数の会社に査定を依頼する意味は、単に高い価格を探すというより、こうした戦略の違いによる評価のばらつきを比較する、という側面もあります。
あなたの物件は買取に向いている?
買取が向いているかどうかは、築年数やタイプよりも「今の状況」で判断するのが実用的です。

買取が向いているケース
- 内覧のために何度も部屋を片付けたり、購入希望者の対応をしたりする余裕がない
- 雨漏り・シロアリ被害・事故物件など、告知事項があり仲介では買い手が見つかりにくいと感じている
- 共有持分や借地権など、権利関係が複雑で個人の買主には説明・交渉のハードルが高い
- 住み替え先の引き渡し日など、売却完了の期日が決まっている
- 入居者がいる状態(賃貸中)のまま、なるべく早く現金化したい
買取が向いていないケース
時間に余裕があり、少しでも高く売りたいという方には、買取よりも仲介の方が向いています。特に武蔵小杉のようにタワーマンションを含め相場が形成されているエリアでは、仲介で複数の購入希望者から関心を集めることで、買取価格を上回る条件で成約する可能性も十分にあります。仲介での相場感は武蔵小杉のマンション相場を最新データで解説で確認できます。仲介を選ぶ場合、どの会社に依頼するかで結果が変わることもあります。私自身が複数社を比較して1社を選んだ経験は不動産会社の選び方で私が間違えたことで書きました。
また、入居者がいる状態のまま売りたい場合、選択肢は買取だけではありません。仲介でも「オーナーチェンジ物件」として、入居者がいる状態のまま個人の投資家に売却する方法があります。査定額の考え方や、買取・仲介それぞれのメリットはオーナーチェンジ物件の売却相場で詳しく解説していますので、賃貸中の物件を検討している方はあわせてご覧ください。
小杉恵のひとこと
実は、私自身も所有しているマンションを仲介で売りに出した際、複数の買取業者から仲介会社経由で価格提示を受けたことがあります。レインズ(不動産流通標準情報システム)に登録された物件情報を見て、買取業者が仲介会社へ打診してきたのだと考えています。売却を検討した時期をまたいで何度か声がかかり、提示額はいずれも仲介での想定額より低く、業者ごとにも差がありました。今回は急いで売る事情がないこともあり、価格提示を受けても仲介での売却を選びました。
このときは仲介での売却を選びましたが、では何を基準に価格を決めたのか、そして期限を設けなかったことが判断にどう効いたのかは売り時は値上がりした瞬間ではなかったに書いています。
買取・査定を進めるときの注意点
買取を検討する場合も、1社だけの査定額で決めるのは避けた方が無難です。前述の通り、買取業者ごとに再販の戦略が異なるため、提示される価格には差が出ます。複数社に査定を依頼して、価格だけでなく契約不適合責任の免除範囲や引き渡し時期の条件も含めて比較するのがおすすめです。
極端に高い査定額を提示しておきながら、契約直前になって減額を持ちかけてくるような会社には注意が必要です。査定額の根拠(築年数・立地・リノベーション費用の見込みなど)をきちんと説明してくれるかどうかも、信頼できる会社を見分ける材料になります。売却にかかる税金の考え方は仲介の場合と同じで、詳しくは武蔵小杉のマンション売却にかかるお金全体像で解説しています。提示された査定額をもとに実際の手取り額を試算したい場合は、不動産売却の手取り額シミュレーターで概算できます。
よくある質問
Q. 買取は必ず仲介より安くなりますか?
A. 傾向としては安くなりやすいですが、物件の状態や急ぎ度によっては、仲介で時間をかけて売るより買取の方が総合的に有利になることもあります。内覧対応の手間や、売却完了までの固定資産税・管理費の負担なども含めて比較するとよいでしょう。
Q. リフォームしてから買取に出した方がいいですか?
A. 多くの買取業者は、購入後に自社でリノベーションを行う前提で査定するため、事前のリフォーム費用が査定額にそのまま上乗せされるとは限りません。リフォームするかどうかは、まず現状のまま複数社に査定を依頼し、その結果を見てから判断することをおすすめします。
まとめ
買取は仲介より価格が下がる傾向がある一方、内覧対応の手間がなく、契約不適合責任も免除されやすいというメリットがあります。「7〜8割」という目安は実際の取引データに基づく数字ではなく、業者間で参照されている推計値である点も踏まえておくとよいでしょう。買取業者によって再販の戦略が異なるため、価格や条件は複数社を比較して初めて見えてきます。急いでいるか、権利関係が複雑か、賃貸中かどうかといった今の状況を整理した上で、まずは査定を依頼してみることをおすすめします。

