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3社から査定額をもらった後、私はしばらく決めあぐねていました。金額だけを見れば一番高い会社に頼めばいいはずなのに、それで本当にいいのか確信が持てなかったからです。結果としてその会社を選び、専任媒介を結びました。3ヶ月後、売却は決まらないまま契約は満了します。ただ後になって悔やんだのは、その会社を選んだことそのものではなく、そもそも比較する相手をどう決めたかの方でした。今回は、当時どういう基準で1社に絞り、それがどう転んだのか、実際の流れをそのまま書きます。

なぜ大手3社だけに声をかけたのか
当時の私は、一括査定サービスの存在をほとんど意識していませんでした。地元の不動産会社という選択肢も、なんとなく「大手の方が安心だろう」という思い込みで最初から候補に入れていませんでした。結果的に声をかけたのは、全国展開している大手仲介会社3社だけです。今振り返ると、この最初の絞り込みの段階で、比較の幅を自分から狭めていたことになります。
査定額に差が出る理由や、担当者のどこを見ればいいかという一般的な話は武蔵小杉の不動産査定はどこがいい?で詳しく解説しているので、そちらも参考にしてください。ここでは、実際に3社を比較した結果どう動いたかを書いていきます。
私が決め手にした3つの基準
3社の訪問査定を受けた後、最終的に1社に絞る際に重視したのは次の3点でした。
| 基準 | 内容 |
|---|---|
| 査定額 | 3社の中で最も高い金額を提示した |
| 担当者の自信 | 「このエリア・この価格帯なら売れる」と迷いなく言い切った |
| 周辺相場への詳しさ | 近隣の成約事例や競合物件の状況をその場ですらすら話せた |
今でこそ複数の物件を保有・運用していますが、2023年の売却当時はまだ所有物件も少なく、売却経験も浅い状態でした。今思えば、この3つの中で一番リスクが高いのは「査定額」です。金額の高さだけで選ぶと、後からその妥当性を検証できなくなります。当時の私は、担当者の自信と地域知識も判断材料に含めることで、査定額だけに偏らない選択をしたつもりでした。それでも、後述の通りこの選び方には見落としがありました。
選ばなかった2社と、その理由
ここが今回一番書きたかった部分です。選ばれなかった側の会社が何を言っていたかは、選んだ側の理由よりも記録として残りにくいので、当時の記憶をそのまま書きます。
1社(会社B)は、担当者が「築年数が経っているので、内装をどれだけ綺麗にしても、そこまで高くは売れないと思います」とはっきり言いました。今思えば誠実な見立てだったのかもしれませんが、当時の私は少しでも高く売りたい一心だったので、この慎重な発言を「やる気のなさ」として受け取ってしまいました。結果的に、この会社は最初の面談だけで候補から外しています。
もう1社(会社C)については、正直あまり印象に残っていません。査定額も担当者の説明も可もなく不可もなく、他の2社と比べて選ぶ理由が見当たらなかった、というのが実感に近いです。強い理由があって外したというより、目立たなかったから残らなかった、という方が正確だと思います。
専任媒介を選んだ理由と、3ヶ月で実際に起きたこと
大手A社とは一般媒介ではなく専任媒介で契約しました。理由は単純で、「大手なら顧客が多いし、その分だけ売れる可能性も高くなるはずだ」と思ったからです。媒介契約には専属専任・専任・一般の3種類があり、それぞれの違いは武蔵小杉でマンションを売却する完全ガイドにまとめていますので、制度そのものの説明はそちらに譲ります。
専任期間中の3ヶ月間、大手A社の担当者はしっかり動いてくれました。進捗報告は丁寧で内覧の調整にも満足していましたが、価格が高かったせいか、当初の反響は今ひとつでした。そこで途中で6〜7%ほど値下げしたところ、内覧の組数が増えました。一時は前向きな買主が現れ、このまま決まるかと思えた時期もありました。しかし、最終的にその買主は住宅ローン審査が通らず、契約直前で話が流れてしまいました。担当者の働きぶりに問題があったわけではなく、単純に「頑張っても、必ずしも想定通りには進まないことがある」というのが、この3ヶ月で得た実感です。
契約満了後、一般に切り替えて地元仲介を足した
専任媒介は3ヶ月で満了を迎えました。ここで私は、大手A社との関係を一般媒介に切り替えたうえで、地元で長く営業している仲介会社を1社追加することにしました。理由は「地元なら、この辺りの事情により詳しいはずだ」という単純な期待です。地元の仲介会社には、売却だけでなく賃貸としての募集も同時にお願いしました。
結果として、賃貸の募集を始めてから間もなく、地元の仲介会社が入居希望者を見つけてくれました。個人向けの売却という当初の目的は達成できませんでした。ここで正直に書いておきたいのですが、一般媒介に切り替えたから話が早く進んだのか、それとも単に賃貸の需要とタイミングが合っただけなのかは分かりません。専任のまま続けていた場合にどうなっていたかを確かめる術はなく、そこを「一般媒介の方が優れている」という結論に飛躍させるのは実態とずれると思っています。
入居者が決まった後、賃貸中の物件をどう売却するかという課題についてはオーナーチェンジ物件の売却相場で書いています。また、個人の買主が見つからなかった場合の別の選択肢として、買取という方法もあります。仲介での売却が難しいと感じたときの考え方は武蔵小杉のマンション買取にまとめました。
振り返って、選び方の何が間違っていたか
現役大家として改めて振り返ると、間違っていたのは会社の質そのものではなく、「最初から1社に絞ってしまったこと」だと思っています。大手A社の対応自体には不満がありませんでしたし、地元の仲介会社もすぐに結果を出してくれました。つまり、どちらか一方だけを選んでいたら、もう一方が持っていた強みを最初から使わずに終わっていた可能性があります。大手は広い顧客基盤を、地元は地域特有の需要を、それぞれ違う角度で見ていたのだと思います。武蔵小杉というエリアで大手・地域密着・買取のどれに声をかけるべきかは、武蔵小杉の不動産会社の選び方で整理しています。
会社Bが言っていた「築年数を考えるとそこまで高くは売れない」という見立てが正しかったのかどうかも、今となっては断定できません。実際に売れなかった理由は、価格設定やタイミング、買主のローン審査など複数の要因が絡んでいて、会社Bの見立て一つに帰着させられるものではないからです。ただ、当時の私が「慎重な意見=やる気がない」と決めつけて即座に切り捨てたことについては、もう少し話を聞く余地があったかもしれないと感じています。
小杉恵のひとこと
複数の物件を保有する今の自分が当時に戻れるなら、真っ先に伝えたいのは「査定額を比べる前に、会社ごとに見ている市場が違うという前提を持て」ということです。大手が強い市場と、地元の会社が強い市場は同じではありません。1社に絞る決断は、その違いを比べる機会そのものを手放すことでもありました。

今の私が仲介会社を選ぶときの基準
この経験を踏まえて、今の私が売却を任せる会社を選ぶときに意識していることを整理します。
- 査定額の高さは「売れる価格」ではなく「その会社の見立て」だと考える:一番高い金額を出した会社が一番早く売ってくれるとは限りません
- 慎重な見立てを言う会社を、その場で切り捨てない:やる気の有無ではなく、根拠のある意見かどうかで判断する
- 大手と地元、両方に声をかけてから決める:見ている市場や強みが違うため、どちらか一方だけで判断しない
- 専任にするなら、契約期間中に何をしてもらうかを先に握っておく:3ヶ月という期間は思ったより短く、後から「もっとこうしてほしかった」と思っても取り返しがつきません
今も変えていない判断がひとつあります。大手A社との仲介手数料は、値引き交渉を一切せず満額のまま依頼しました。少しでも費用を抑えたい気持ちより、その分しっかり動いてほしいという気持ちを優先したためです。満額にしたから頑張ってもらえたのかどうかは確かめようがありませんが、当時の自分がどこにお金をかけるかで何を優先していたかは、この判断に表れていると思います。
一括査定サービスを使えば、複数社の見立てをまとめて短時間で並べられます。そこで得た金額を土台にしつつ、私が最初にやらなかった「地元の会社にも別途声をかける」という一手を加えるだけで、比較の幅は大きく変わります。
よくある質問
Q. 一括査定サービスは使わなかったのですか?
A. このときは使いませんでした。当時は選択肢として意識しておらず、全国展開している大手3社に個別に声をかけただけです。
Q. 専任媒介と一般媒介、どちらを選ぶべきですか?
A. 一概にどちらが優れているとは言えません。専任は1社に集中してもらいやすい一方、私のように「もっと早く選択肢を広げておけばよかった」と感じるケースもあります。専任にするなら、契約期間中に何をしてもらうかを事前に握っておくことをおすすめします。
Q. 査定額が一番高い会社を選んで大丈夫ですか?
A. 金額だけで決めるのはおすすめしません。私自身、金額に加えて担当者の自信や地域知識も見ましたが、それでも「もっと早く地元の会社にも声をかけていれば」という反省が残りました。査定額がそのまま成約価格になるとは限らない点は、査定額と成約価格のズレで実データを使って検証しています。
Q. 仲介会社を後から変えることはできますか?
A. 専任媒介・専属専任媒介は契約期間(最長3ヶ月)が終われば、別の会社に切り替えたり、一般媒介に変更したりできます。私も専任期間の満了に合わせて、大手A社との関係は一般媒介に変えたうえで地元の仲介会社を追加しました。内覧そのものへの対応についてはマンション売却の内覧準備も参考にしてください。
まとめ
査定額の高さと担当者の印象だけで1社に絞り込んだ結果、専任期間の3ヶ月では売却に至らず、最終的には地元の仲介会社に助けられる形で賃貸に落ち着きました。問題は会社の質ではなく、比較の対象を最初から大手3社だけに絞り、地元の会社や複数社への同時依頼という選択肢を検討しなかったことだったと思います。
今もう一度同じ場面に戻れるなら、私は最初から大手と地元の両方に一般媒介で依頼します。1社に賭けるより、違う市場を見ている会社を並行して動かした方が、選択肢を狭めずに済むからです。もしこれから会社選びをするなら、一括査定でまず複数社の見立てを並べたうえで、地元の会社にも自分で声をかけてみることをおすすめします。

