武蔵小杉 中古マンションが売れない|半年の実例と原因の切り分け

空室に残されたカレンダーのイメージ 不動産売却ガイド
小杉恵

小杉 恵(現役大家・宅建試験合格者)
武蔵小杉・川崎市・東京都内で実際に不動産の売買・賃貸経営をしながら、実体験に基づいた情報を発信しています。

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武蔵小杉でマンションを売りに出したのに、なかなか決まらない。そんな状況に置かれると、「何が悪いのか」を知りたくなります。私自身、2023年に一度この状況を経験しました。渦中にいるときは、自分では原因がまったく分かっていませんでした。ここでは当時の経緯をそのまま書きながら、売れない原因をどう切り分ければいいかを整理します。

空室に残されたカレンダーのイメージ

2023年、半年以上売れなかった

2023年、住み替えのため武蔵小杉のマンションを退去し、空室のまま個人向けに売りに出しました。売り出した直後は問い合わせも内覧もありましたが、しばらくすると内覧の入らない週が出てきます。反響の鈍さを見て、売り出しから約1ヶ月が経った頃に価格を見直しました。下げ幅は6〜7%です。値下げ後は内覧の組数が増えました。ようやく前向きな買主が現れたと思った矢先、住宅ローンの審査が通らず契約直前で破談になります。その後も反響は戻らず、方針を変えて賃貸の募集も並行して始めたところ、申し込みが2組あり、入居者を迎える形で決着しました。半年以上かけても、個人向けの売却は決まりませんでした。

当時、私は原因が分かっていなかった

値下げをする段階になっても、私は「なぜ反響が鈍いのか」を理解できていませんでした。頭に浮かんだのは「古いのかな」「管理費が高いのかな」といった、根拠のない仮説ばかりです。担当者に聞いても、決定的な説明は返ってきませんでした。値下げ後に内覧が増えたときも、担当者からは「これ以上下げる必要はない」という感触が示されただけで、じゃあ何が正解だったのかは最後まで言語化されませんでした。後から振り返れば、手をかけて準備したことより価格の設定が結果を左右していたのですが(マンション売却の内覧準備で詳しく書いています)、渦中の私にその実感はありませんでした。

掲載直後だけ反響があり、そのあと静かになった

売り出した直後は問い合わせや内覧の申し込みが立て続けにありましたが、そのあとは急に静かになりました。今考えると、新着として掲載された直後の反響は、その時点で「同じような条件の部屋をすでに探していた人」がまとめて反応した結果だったのだと思います。そのストックが尽きたあとは、新規に検索・閲覧してくれる人だけが頼りになります。これは私のケースで見えた印象であり、どのマンションでも同じ形になるとは限りません。とはいえ、初動の反響の多さだけで「この価格で大丈夫」と判断するのは、早計だったのだと思います。

値下げは1回。そこで手持ちのカードがなくなった

約1ヶ月目の値下げは1回だけでした。担当者からは「このあたりが合理的な価格帯」という感触が示され、そこで価格という打ち手は実質的に終わっています。ここで振り返りたいのは、打ち手が尽きたあとに残る「何もできない期間」のきつさです。内覧が入らない週も、入っても決まらない週も、こちらから動かせる手段がほとんどありません。売り出し初期に強気すぎる値付けをしていなかったか、早い段階で見直しておく重要性を、この空白期間が教えてくれました。

値下げをイメージした切り札のトランプ

競合が少なくても売れないことはある

「競合が多いから売れない」という説明は分かりやすいですが、私のケースは逆でした。同じマンション内の別の住戸は当時すでに賃貸に回っており、周辺の類似マンションの売り出しも多くはありませんでした。それでも、私の部屋は個人の買主に売れませんでした。競合の少なさは有利に働くはずの条件でしたが、それだけでは決まらないことがあります。「競合が少ない今がチャンス」という説明を担当者から受けたとしても、それを鵜呑みにせず他の要因も合わせて見ておく必要がありますし、今思えば、その住戸はすでに私より先に売る以外の選択にたどり着いていたことになります。

断られた理由は、掃除では解決しないものばかりだった

実際に内覧してくれた方から断られた理由は、突き詰めると、間取りや建物の構造に関わる、こちらでは変えようのない条件がほとんどでした。具体的に書くと部屋が特定されてしまうので伏せますが、いずれも清掃や小さな手直しでどうにかなる話ではありません。退去前に自分の手で室内を整えていたので、内覧そのものの印象で断られた記憶はほとんどないのですが、それは裏を返せば、手をかけた部分が断られる理由を減らす方向には働かなかったということでもあります。ただし、ここに挙げた理由はいずれも担当者から伝え聞いたものです。逆に自分が買主の側に立って6件を見送ったとき、何を理由にしていたかは売れる部屋と売れない部屋の差に書きました。

唯一、住宅ローンの審査落ちによる破談だけは事情が違い、これは買主側の属性の問題で、物件の評価が原因ではありませんでした。つまり、部屋の状態でも建物の担保評価でもないところで決まらなかったことになります。準備が足りなかったわけではない。それでも決まらない。そう整理していくと、自分の側で動かせる余地が残っているのは結局どこなのか、という話に戻ってきます。

「もう少し待つ」にもお金がかかる

反響が鈍くなってきた時期、いったん売り出しを取り下げて時期をずらす案も検討しました。ただ、空室のまま持ち続けると、管理費・修繕積立金・固定資産税は待った状態でもかかり続けます。リフォームについては、すでに内覧準備の段階で自分の手を入れ終えていたため、追加でやることはありませんでした。「待てばもっと良い条件で売れるかもしれない」という期待と、「待っている間も出ていくお金がある」という現実を天秤にかけた結果、待つという選択肢は早い段階で難しいと判断しました。

売れない原因を5つに切り分ける

この経験を振り返って、中古マンションが売れない原因は大きく5つに整理できると考えています。

  1. 価格そのもの
  2. 売り出す時期・季節
  3. 競合物件や市場全体の動き
  4. 物件固有の条件(間取り・築年数・立地など、変えようのない要素)
  5. 営業活動そのもの(掲載内容や担当者の動き)
売れない原因を5つの軸で整理した図

私のケースに当てはめていくと、まず時期・季節です。「5〜9月は動きが鈍い」と担当者から言われたことはありますが、これは自分で裏を取れていない情報のため鵜呑みにはできません。競合はむしろ少なく、物件固有の条件も変えようがない要素です。営業活動については、不動産会社の選び方で私が間違えたことに書いたとおり、そもそも比較の仕方から見直すべきでした。こうして消去法で残るのが価格です。実際、断られた理由のなかには「気に入ったが予算を少し超えている」というものもありました。他の4つと違って、価格だけはこちらの判断ひとつで動かせます。もし今、査定を取り直すなら、この5つの軸に沿って今の価格が妥当かどうかを確認するところから始めると思います。

今の価格が妥当か複数社に査定してもらう

私の答えは「売る以外の出口」にあった

賃貸に切り替えたというより、正確には売却と並行して賃貸の募集も出した、というのが実際のところです。きっかけは自分の判断ではなく、途中から加わった地元の仲介会社からの提案でした。「部屋がこれだけ綺麗なのに空室にしておくのはもったいない」「この状態なら高い賃料で貸せる」と言われ、両方同時に出してみてはどうかと勧められたのです。

そこで提示された賃料は、自分が漠然と想定していた水準をはるかに超えていました。正直に言えば驚きました。売却相場は何度も調べていたのに、賃貸に回した場合の相場を、私はあまり調べていなかったからです。しかも、退去前に手をかけて整えた室内は、売却では効果をはっきり確認できないまま終わったのに、賃貸では評価の対象になり賃料の根拠として扱われました。同じ部屋の同じ状態が、出口を変えただけで違う値段の付き方をしたことになります。

結果は、募集を出してすぐに決まりました。しかも申し込みは2組です。半年以上かけても決まらなかった個人向けの売却とは対照的に、出口を変えた途端に選ぶ側に回りました。今思えば、同じマンションの別の住戸が先に賃貸へ回っていたことも、私にとってのヒントだったはずです。それを見ていながら、自分は売却の一本道しか見ていませんでした。空室のまま持ち続けるか、入居者がいる状態で保有し続けるかという選択肢についてはオーナーチェンジ物件の売却相場に、売却の中でも一括査定と個別依頼のどちらを選ぶかについては一括査定と買取の使い分けに、それぞれ詳しく書いています。

個人向け売却と賃貸の比較図

無料で一括査定を依頼する

小杉恵のひとこと
当時は「いずれは売れるだろう」とも思っていました。武蔵小杉はすでに賑わっていたサードアヴェニューに加え、当時建築中だったドレッセタワー武蔵小杉、そして綱島街道改札の供用開始も控えていて、街が良くなっていく実感があったからです。ただ、その実感は「待てば売れる」という判断を支えてはくれても、待っている間にかかり続けるコストまでは消してくれませんでした。

よくある質問

Q. 内覧はあるのに決まらないのは何が原因ですか?

A. 私のケースでは、内覧の組数そのものより、断られた理由が「価格以外は直しようのない条件」に集中していました。内覧数が十分あるのに決まらない場合、物件そのものよりも価格帯が相場からわずかにずれている可能性を先に疑ってみる価値があると思います。

Q. 一度取り下げて出し直すのは有効ですか?

A. 検討はしましたが、私は実行しませんでした。空室のまま保有し続けるコストが待つほど積み上がっていくため、取り下げて時期を待つという選択は、思っていたより気軽な選択肢ではありませんでした。

Q. 賃貸相場はいつ調べておくべきですか?

A. 売却を検討し始めた段階で、一度は調べておくべきだったというのが私の反省です。売却相場だけを見て走ってしまうと、いざ売れなかったときに比較する材料を持たないまま焦って判断することになります。

まとめ

半年以上、個人向けの売却は成立しませんでした。当時の私は原因が分からず、「古いのかな」「管理費が高いのかな」と当てのない仮説を並べていただけです。もし今、同じ状況に戻るなら、価格・時期・競合や市場・物件固有の条件・営業活動という5つの軸に分けて、どこで引っかかっているのかを順番に確かめると思います。原因は渦中では見えにくく、見えないまま時間だけが過ぎていくのが一番きついからです。

そしてもうひとつ、売れないと感じた時点で、売る以外の出口も並べて見ておくこと。私は売却相場だけを追いかけていたために、比べる材料を自分で持っていませんでした。

この部屋はその後、賃貸を経て改めて売り出すことになりました。値上がりだけを理由にはしなかった2回目の判断は売り時は値上がりした瞬間ではなかったに、実際に交わした交渉・契約の詳細はマンション売却の体験談に、それぞれまとめています。

この記事を書いた人
小杉恵

現役大家(宅建試験合格者)。武蔵小杉・川崎市・東京都内で投資用不動産(新築アパート・中古マンション・戸建)を自ら運用しながら、実体験に基づいた「分かりやすく正直な」不動産売却情報を発信しています。

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