日吉のマンション売却|築浅と築古で相場は2つある

日吉のマンション売却をイメージした木製の建物模型 相場・価格データ
小杉恵

小杉 恵(現役大家・宅建試験合格者)
武蔵小杉・川崎市・東京都内で実際に不動産の売買・賃貸経営をしながら、実体験に基づいた情報を発信しています。

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日吉には東横線の通勤特急と急行が停まり、目黒線、東急新横浜線、横浜市営地下鉄グリーンラインも乗り入れています。隣の元住吉に停まるのは各駅停車だけです。それでも、実際に成約したマンションの価格を比べると、日吉の中央値は元住吉より3割以上低く出ます。

この「3割低い」を、そのまま自分の部屋の値付けに使うのは危険です。日吉の成約は、築年数によって2つの層にはっきり分かれています。駅全体の中央値は、築浅の部屋を売る人にも築古の部屋を売る人にも当てはまりません。

国土交通省が公開している成約価格データから日吉の分を取り出し、どの層にどんな価格がついているのかを見ていきます。

日吉のマンション売却をイメージした木製の建物模型

隣の元住吉より、3割低い?

使ったのは、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」の成約価格データです。レインズ(不動産流通標準情報システム)に登録された実際の取引を、国が匿名化して公開しています。横浜市港北区の中古マンションのうち、2024年第1四半期から2026年第1四半期までに成約した1,378件を集め、そこから最寄駅が日吉の272件を取り出しました。

ポータルサイトに並ぶ売り出し中の価格は、売主の希望額です。このデータは実際に売れた価格なので、同じ物件でも数字は低めに出ます。

区分 件数 中央値 70m²なら よくある価格帯
日吉 272 57.1 約4,000万円 44.4〜106.9
元住吉 148 85.3 約6,000万円 66.6〜107.6
港北区全体 1,378 63.6 約4,500万円 45.7〜80.0

※単位:万円/m²。元住吉は川崎市中原区の同じ期間のデータです。「70m²なら」は中央値に70を掛けた金額で、日吉・元住吉とも成約した住戸の面積の中央値が70.0m²であることから、この広さで換算しています。「よくある価格帯」は、m²単価を安い順に並べたときに真ん中の半分が収まる範囲です。最寄駅が日吉でも所在地が川崎市の物件は、この272件に含めていません(理由は後半で説明します)。

中央値では、日吉の57.1万円/m²が元住吉の85.3万円/m²より33%低くなっています。港北区全体の63.6万円/m²と比べても、日吉のほうが低い位置です。

ただ、この表で見てほしいのは右端の列です。よくある価格帯の上の端は、日吉が106.9、元住吉が107.6で、ほとんど変わりません。違うのは下の端で、日吉は44.4まで広がっています。幅にすると日吉は元住吉の1.5倍あります。上のほうの取引は元住吉と同じ水準で成立しているのに、下のほうに安い取引が厚く積み重なっている。中央値の差は、この下の端の厚みとして表れています。

元住吉の側の数字をどう読むかは元住吉のマンション売却で扱いました。ここからは日吉の272件の中身を見ていきます。

日吉の成約は、2つの層に分かれる

日吉の成約を築年数で5つに分けました。

築年帯 件数 中央値 成約した住戸の面積の中央値 70m²なら よくある価格帯
築10年以内 73 116.0 75.0m² 約8,100万円 110.6〜125.3
築11〜20年 23 68.6 70.0m² 約4,800万円 60.6〜84.0
築21〜30年 42 62.1 75.0m² 約4,400万円 52.3〜80.9
築31〜40年 48 50.3 65.0m² 約3,500万円 45.3〜57.6
築41年以上 76 39.5 57.5m² 約2,800万円 32.7〜50.2

※単位:万円/m²(築年数は2026年時点)。30m²未満の住戸10件(すべて築31年以上)を除いた262件で集計しています。元住吉の記事では築31年以上を1つにまとめましたが、日吉は築41年以上だけで76件あり、最も成約の多い帯なので分けました。築41年以上は成約した住戸が小さめ(面積の中央値57.5m²)なので、自分の面積を掛けて試算してください。

いちばん上とその下の行のあいだで、価格が大きく落ちています。築10年以内の116.0万円/m²に対して、築11〜20年は68.6万円/m²です。そこから下は築年数に応じてなだらかに下がり、築41年以上は39.5万円/m²。上下の差は2.94倍で、70m²に換算すると5,000万円を超える開きになります。

築11〜20年の成約が少ない

件数の列も見てください。築11〜20年は23件しかなく、日吉の272件のうち8.5%です。元住吉では同じ帯が148件中30件、20.3%を占めていました。

日吉の成約は、築10年以内の層と、築30年を超えた30万〜50万円台の層に集まっていて、そのあいだが薄い。駅全体の中央値57.1万円/m²は、築21〜30年(62.1)と築31〜40年(50.3)の中央値のあいだに落ちています。

自分の帯の中央値と比べたとき、駅の中央値とのずれが2割以内で済むのは、築11年から40年までの真ん中の3つの帯です。大きく外れるのは両端の帯です。

日吉の築年帯別の成約m²単価の中央値を比べたグラフ

築浅の110万円台を支える一群

築10年以内の73件は、中身に偏りがあります。およそ4分の3にあたる56件が、同じ時期に建った一群の取引でした。同じ開発の中の別々の部屋が、何件も続けて成約したと読むのが自然です。このデータには建物名も階数も記録されていないので、こうした偏りは件数を見ただけでは分かりません。

その一群を除いて、残りの17件で計算し直しても、中央値は110.6万円/m²でした。築10年以内が110万円台という水準は変わりません。

一方で、駅全体の数字には効いています。272件からこの一群を除くと、中央値は57.1から51.2万円/m²まで下がります。ただ、除いたほうが正しいわけではありません。どちらも実際に成約した取引です。駅の中央値がどれほど中身の構成に左右されるかを示す例として受け取ってください。

駅の中央値で見積もると

築10年以内の部屋を持っている人が、駅の中央値57.1万円/m²で見積もったとします。自分の帯の中央値116.0万円/m²の49%で、ほぼ半値です。そのまま売り出せば、相場より大幅に安く手放すことになります。

反対に築41年以上の部屋なら、同じ57.1万円/m²は自分の帯の39.5万円/m²の1.45倍にあたります。高すぎる値付けで売り出し、問い合わせが来ないまま時間が過ぎることになりかねません。

築41年以上の帯は、日吉で最も成約の多い帯でもあります(全件で80件)。成約の件数を見る限り、買い手がつかない帯ではありません。

自分の築年帯で査定額を確かめる

築年をそろえても残る差

では、元住吉との3割の差は、築古の物件が多いことだけで生まれているのでしょうか。同じ築年帯どうしで比べました。元住吉は築41年以上が7件しかないため、元住吉の記事と同じ4つの帯にそろえています。

築年帯 日吉(件数) 元住吉(件数) 元住吉÷日吉
築10年以内 116.0(73) 113.3(33) 0.98倍
築11〜20年 68.6(23) 100.0(30) 1.46倍
築21〜30年 62.1(42) 85.0(45) 1.37倍
築31年以上 45.2(124) 60.6(22) 1.34倍

※単位:万円/m²(築年数は2026年時点)。どちらも30m²以上の住戸に限っています。前の表とは築年帯の切り方が違う(築31年以上を1つにまとめている)ため、築31年以上の数字は前の表のどの行とも一致しません。

築10年以内は、両駅とも110万円台で並びました。日吉の73件には先ほどの一群が含まれていて、それを除くと順序が入れ替わるほどの僅差なので、どちらが高いとは言えません。

築11年以上の3つの帯では、元住吉が1.34倍から1.46倍高くなっています。

物件の構成が違うのは確かです。成約した物件のうち築41年以上が占める割合は、日吉が29.4%、元住吉が4.7%。駅から徒歩11分以上の物件は、日吉が65.7%、元住吉が37.8%です。築10年以内の割合は日吉26.8%、元住吉22.3%とほぼ同じなので、違いは築古の厚みと駅からの距離にあります。

それでも、築年をそろえた表で差が残る以上、築年の構成で説明できるのは差の一部です。残りの差に駅からの距離がどれだけ効いているかも確かめようとしましたが、築年帯と距離の両方で分けると20件に届かない区分が多くなり、このデータの件数では切り分けられませんでした。

停車する電車の種別は、元住吉との比較では日吉に有利な違いです。東急電鉄の公式案内によれば、日吉には東横線の通勤特急・急行が停まり、元住吉は各駅停車のみです。それでも成約の水準は逆になっています。停車種別は、自分の部屋の値付けを上げ下げする根拠にはなりません。

2023年3月18日に開業した東急新横浜線の影響も、このデータでは確かめられません。集計した期間がすべて開業より後なので、開業前との比較ができないためです。

日吉のデータで迷いやすい2か所

この記事の数字は、自分で不動産情報ライブラリから取り出して確かめることもできます。そのとき、日吉には他の駅にない紛らわしさが2つあります。なお、CSVの最寄駅の欄では、日吉駅は「日吉(神奈川)」と表記されています。

日吉のデータで迷いやすい2つの表記のイメージ

最寄駅「日吉」に川崎市の物件が混ざる

日吉駅は横浜市と川崎市の境に近い位置にあります。そのため、最寄駅が日吉として記録されている物件が、川崎市の高津区・幸区・中原区にもあります。今回のデータでは55件ありました。

その大半は駅までの距離が記録されておらず、価格の水準も港北区側とは大きく違います。距離が記録されていない理由はデータからは分かりませんが、日吉駅周辺の相場として扱える数字ではありません。港北区のデータだけを使えば混ざりませんが、川崎市のデータを「日吉」で絞り込むとこれらの物件が出てきます。分けて見てください。

「日吉本町」は地区名にも駅名にもある

日吉駅の近くには「日吉本町」という町名があり、データの地区名の欄に出てきます。一方で、グリーンラインには「日吉本町」という別の駅もあります。

最寄駅の欄で絞り込むときに日吉本町を選ぶと、日吉駅ではなくグリーンラインの日吉本町駅を最寄りとする物件になります。日吉駅の周辺を調べたいなら、最寄駅は「日吉(神奈川)」を選び、地区名の日吉本町はその中に含まれるものとして扱ってください。

この2点に気をつければ、あとは他の駅と変わりません。検索画面の操作は武蔵小杉の一戸建て 売却で手順を追って説明しました。戸建てを例にしていますが、種類の欄で「中古マンション等」を選べば操作は同じです。

取り出したら、自分の部屋の築年数(2026年時点)で帯を決め、その帯の中央値に自分の面積を掛けます。これが値付けを考えるときの出発点になります。

まとめ

日吉のマンションの成約価格は、中央値で見ると元住吉より3割以上低く出ます。ただ、日吉の成約は築10年以内の層と築30年を超えた層に分かれていて、駅の中央値57.1万円/m²は築21〜30年と築31〜40年の中央値のあいだにあります。自分の帯と比べると、築10年以内(110万円台)では半分ほど、築41年以上(30万円台後半)では1.45倍と大きく外れ、真ん中の帯でも2割以内のずれが出ます。

駅の中央値をそのまま使うと、間違いは両方向に出ます。築浅の部屋を持つ人は安く手放すことになり、築古の部屋を持つ人は高すぎる価格で売り出して売れ残ります。

元住吉と比べると、築年をそろえても築11年以上では差が残ります。隣の駅の数字も、日吉の駅全体の数字も、値付けの出発点にはなりません。出発点にするのは、日吉の表の中の自分の帯の行です。

査定の依頼から引き渡しまでの流れは武蔵小杉でマンションを売却する完全ガイドにまとめています。武蔵小杉を例にしていますが、手続きの進め方は日吉でも変わりません。

よくある質問

Q. 日吉は急行が停まるのに、なぜ元住吉より成約価格が低いのですか?

A. 理由は2つ重なっています。1つは成約した物件の構成で、日吉は築41年以上の物件と駅から離れた物件の割合が元住吉より大きくなっています。もう1つは、同じ築年帯どうしで比べても築11年以上では元住吉のほうが1.3倍から1.5倍ほど高いことです。構成の違いだけでは説明しきれません。停車する電車の種別が価格にどう効いているかは、公開されている成約データからは取り出せないため、停車種別を理由に高く値付けするのは避けたほうがよいでしょう。

Q. 東急新横浜線の開業で、日吉のマンションは値上がりしましたか?

A. この記事のデータでは分かりません。集計した2024年から2026年初めまでの取引は、すべて2023年3月の開業より後のものです。開業が価格を押し上げたかどうかを確かめるには、開業前の成約データと比べる必要があります。

Q. 築40年を超えた日吉のマンションでも売れますか?

A. 売れています。日吉で成約が最も多いのは築41年以上の帯で、2年あまりのあいだに80件の取引がありました。気をつけたいのは価格の水準です。この帯の中央値は駅全体の中央値よりかなり低いので、駅全体の数字で値付けをすると問い合わせが来ないことがあります。売り出したのに反響がない状態から立て直す方法は武蔵小杉 中古マンションが売れないで扱っています。

Q. 査定額がこの記事の数字と合いません。

A. 日吉では、同じ築年帯の中でも価格の幅が広いことを知っておいてください。たとえば築21〜30年の帯の「よくある価格帯」は52.3から80.9万円/m²まで開いていて、上と下で1.5倍ほど違います。査定額が帯の中央値から離れていても、それだけで査定がおかしいとは言えません。階数や方角、管理の状態、駅からの距離といった帯の中の違いが、査定額には反映されているはずです。査定額と成約価格がどういう理由でずれるのかは査定額と成約価格のズレで整理しています。

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この記事を書いた人
小杉恵

現役大家(宅建試験合格者)。武蔵小杉・川崎市・東京都内で投資用不動産(新築アパート・中古マンション・戸建)を自ら運用しながら、実体験に基づいた「分かりやすく正直な」不動産売却情報を発信しています。

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